2019.11.16 (SAT) − 24 (SUN) 11AM−7PM ※最終日は5PM迄

一般 ¥1,000 / 学生 ¥500

kudan house(東京・九段下)

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2019.11.16 (SAT) − 24 (SUN) 11AM−7PM Open until 5PM on the last day

Adults ¥1,000 / Student ¥500

kudan house

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No.21
No.21

もう一つの海景

人間が生まれる前から居なくなった後も不変であろう太古の海を表現した杉本博司の「海景」への呼応作品。インスタグラムから特定のハッシュタグに紐づく膨大な画像を収集、人工知能的に分析、一つのイメージへ再構築する手法をとることで、人工知能の視る原風景=切り出された人間の社会概念を観察する。
本シリーズでは#atlanticseaや#caribbeanseaなどの地域に基づく海と、#foggyseaや#oceansunriseなどの状況に基づく海とに関するハッシュタグを混用している。物理的制約を取り外すことで海に対して共通した人間の営みを浮かび上がらせようと試みる。
人工知能の視る海には常に人の像が浮かび上がる。人間を一つなぎに留めてきた海は仮想世界で分断され、投稿者の生活、思想、美学の指向性に応じた海景がそこらで生まれていく。例えば霧の海の前に立つ人は多くの場合、レンズに背を向け、あの世を想うかのように視えぬ水平線の向こうを見つめる。南の海では多くの女性が腰の手を当てセルフィーを行い、北の海では水平線をアビーロードのようにしてレンズの前を横切る。こうして不変である海に加えて別の海が乱立する時、果たして波引き際に立つ視線の向こうに「われわれの海」がオーバーレイされていることに気づく。
人がこの世から居なくなった時、われわれはもう一つの海景の中で海を眺め続けるだろう。

写真:立石従寛、顧剣亨

立石従寛

立石従寛

美術家・音楽家

https://jukan.co/

1986年アメリカ合衆国・シカゴ生まれ。ノンヒューマン・アーティストとして、従来の写真と音に加え人工ニューラルネットワークや仮想現実、立体音響を用いたインスタレーション表現に挑戦。人工知能のみる風景に流れ込む人間の像を観察する。代表作に「沈んだ世界のアンカー」、「その-それら」、「ことばおどる」、「Abiotope」など。2017年に渡英、Royal College of Artにおいてファインアートフォトグラフィーの修士号を取得中。修士論文「It can sing; it can compose; it can shoot」で首席。